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語り手:山下裕二氏(山種美術館顧問・明治学院大学教授)
聞き手:山﨑妙子(山種美術館館長)
日本画モダン

山下 2012年5月26日から7月22日まで開催される「福田平八郎と日本画モダン」展ですが、タイトルにある"日本画モダン"という言い方は、本展のために考えた造語なんですよね。

山﨑 はい。

山下 モダンな日本画と言うよりも、"日本画モダン"と言い切ってしまったほうが語呂もいいですしね。いわばキャッチコピーとして展覧会のタイトルに使っています。その言葉の意図するところは、展覧会場に並んでいる大胆な構図や色彩、デザイン的な視点が感じられる作品からわかっていただけると思います。
"日本画モダン"と言えば、福田平八郎の《雨》(後期展示:6/26-7/22)は大好きな作品の一つなのですが、今回はその作品を特別に東京国立近代美術館から拝借できるということで、展覧会の一つの目玉が出来たと思っています。それに加えて、《漣(さざなみ)》(前期展示:5/26-6/24)というやはり素晴らしい作品も大阪市立近代美術館建設準備室からお借りして展示します。

山下裕二氏、山﨑妙子
左:山下裕二氏 右:山﨑妙子
背景の作品:福田平八郎 《筍》 1947(昭和22)年 山種美術館蔵

山﨑 屋根瓦だけを描いた《雨》と水面だけを描いた《漣》。これらの作品は本当に"日本画モダン"を象徴しているといえます。

山下 それから山種美術館所蔵の《筍》という作品も本当にポップでモダンですね。筍の周囲に墨一色というモノクロームで描かれた竹の葉を散らしていて、非常に斬新なデザイン的処理が施されています。こういうポップな感覚というのは、平八郎ならではの表現だと思います。

山﨑 本当にそうですね。また本展では平八郎の作品に加えて、日本画モダンというコンセプトにぴったり合うような、小野竹喬や山口蓬春といった当館所蔵の作家の作品もあわせてご紹介いたします。

福田平八郎 《芥子花》   小野竹喬 《晨朝》
福田平八郎 《芥子花》 1940(昭和15)年頃 山種美術館蔵   小野竹喬 《晨朝》 1969(昭和44)年 山種美術館蔵

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