展覧会

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会 期 : 2011年1月8日(土)~2月17日(木)
開館時間: 午前10時から午後5時(入館は4時30分まで)
休館日: 月曜日(但し、1/10は開館、翌1/11は休館)
入館料: 一般1000円(800円)・大高生800円(700)円・中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
※障害者手帳、被爆者手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料
主催: 山種美術館
出品作品: 橋本雅邦《日本武尊像》、 小堀鞆音《那須宗隆射扇図》、 上村松園《砧》、《蛍》、《娘》、 松岡映丘《山科の宿 雨やどり・おとづれ》、 小林古径《小督》、 安田靫彦《出陣の舞》、 前田青邨《大物浦》、 川﨑小虎《伝説中将姫》、 新井勝利《杜若》、 伊東深水《吉野太夫》、 北澤映月《ねゝと茶々》、 守屋多々志《慶長使節支倉常長》、 森田曠平《出雲阿国》ほか

歴史ブームと言われる昨今、絵画においても歴史上の人物や物語の主人公に熱い視線が注がれています。絵画には風景画、人物画など様々なジャンルがありますが、中でも歴史画は花鳥画と並んで「日本画らしさ」を語る上で重要な要素といえましょう。

歴史上の人物や事件を描いた武者絵や物語絵は近代以前にも数多くありました。しかし明治以降、西洋文化が流入すると、歴史的主題や宗教的主題を尊重する西洋のアカデミズムの価値観の影響により、「歴史画」が洋画家を中心に描かれるようになっていきます。一方、極端な欧化政策への反動としての国枠主義的思想や、輸出の経済効果を狙った政府の思惑などにより、日本画が復興したという背景によって、日本画家たちもまた、日本や東洋の歴史的主題を盛んに取り上げていきます。この流れはのちに、岡倉天心を中心とした日本美術院系の画家たちによる日本画の革新へと展開していきました。こうして歴史画はそれまでの歴史物語の単なる挿絵的な位置づけから、一つのジャンルとして確立してゆき、特に院展を中心に多くの作品が生まれることとなったのです。

本展覧会では、古典を忠実に学んだ伝統的な画風から、想像力豊かで独創的な作品まで、当館所蔵品より幅広く選びました。『伊勢物語』、『平家物語』を主題にした、中村岳陵らの合作による絵巻《伊勢物語》や小堀鞆音《那須宗隆射扇図》、前田青邨《大物浦》をはじめ、歴史上の人物を描いた吉川霊華《菅公之像》、安田靫彦《出陣の舞》、そして神話や伝説、物語を主題にした橋本雅邦《日本武尊像》、川﨑小虎《伝説中将姫》などを展示します。また、江戸風俗の清楚な美人を描いた《蛍》や能の演目から題材を取った《砧》などの上村松園作品も紹介します。日本画をとおして、日本の歴史に思いを馳せていただける展覧会となっています。


橋本雅邦
≪日本武尊像≫

小林古径
≪蛍≫

小堀鞆音
≪那須宗隆射扇図≫

安田靫彦
≪出陣の舞≫

上村松園
≪蛍≫