山種美術館シンボルマークが完成しました。(2015年10月29日)
このたび、当館では50周年を迎える2016年を記念し、新しくシンボルマークを作成しました。
山種美術館シンボルマークについて
安田靫彦≪書・山種美術館≫
1960 - 69(昭和35-44)年頃
>安田靫彦のロゴについて
「山種美術館」の文字(ロゴ)は、初代館長・山崎種二からの依頼を受け、日本画家・安田靫彦(1884-1978)が揮毫した書です。1966(昭和41)年の開館より半世紀にわたり、山種美術館の看板として数多くのお客様をお迎えしてきました。靫彦は、日本の歴史や文学を題材に、理知的な構図と典雅な色彩、そして緊張感を持つ線描の人物画を手がけました。また、日本や東洋の古美術を研究し、特に良寛の書に造詣が深かったことでも知られています。
50周年を迎えるにあたり、世界へ向け、日本画の素晴らしさを幅広く発信していきたいと考え、この安田靫彦の書を使用したロゴに、シンボルマークを新たに加えました。
シンボルマークは、日本を代表するグラフィックデザイナーである佐藤卓氏に制作していただきました。このマークが、従来のロゴとともに、皆様に親しんでいただけることを願っております。
山種美術館 館長 山崎妙子
デザイナー・佐藤卓氏からのメッセージ
このシンボルマークは、横組みのアルファベット「YAMATANE」と、縦組みの漢字「日本画」が重なってできた形です。横組みの「YAMATANE」の文字は縦線を長くし、縦組みの「日本画」の漢字は横線を長くして、格子状に組み合わせ、外形を円にしました。映像、もしくは図解をご覧いただければ、この意味がお分かりいただけることと思います。横組みの文字文化が日常化している日本の現代社会において、それを否定することなく縦組みの文化が組み合わさり、しっかり根付いている現代日本文化の姿をここに表しています。色は、日本画によく使用される日本の伝統色、群青色です。そして、一見完成していないように見える形に、人の想像力を引き出す日本画の「余白」という意味を重ねています。力強い単純な形で目立たせることを目的化したマークは相応しくなく、日本画としての繊細さが山種美術館のシンボルマークには必要なのではないかと考えました。
佐藤 卓(さとう たく)/グラフィックデザイナー
1979年東京藝術大学デザイン科卒業、1981年同大学院修了。
株式会社電通を経て、1984年佐藤卓デザイン事務所設立。
「ニッカ・ピュアモルト」の商品開発から始まり、「ロッテ キシリトールガム」や「明治おいしい牛乳」などの商品デザイン、「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」のグラフィックデザイン、「金沢21世紀美術館」「国立科学博物館」「全国高校野球選手権大会」等のシンボルマークを手掛ける。
また、NHK Eテレ「にほんごであそぼ」アートディレクター、「デザインあ」総合指導、21_21 DESIGN SIGHTディレクターを務めるなど多岐にわたって活動。著書に、「クジラは潮を吹いていた。」(DNPアートコミュニケーションズ)、「JOMONESE」(美術出版社)、「真穴みかん」写真集(平凡社)など。
山種美術館シンボルマークのバリエーション
シンボルマークは用途やシーンに合わせて、さまざまな形、バリエーションで展開していく予定です。
新しいシンボルマークは、 「日本画」と「山種美術館(YAMATANE)」の二つの言葉を重ねたイメージです。 |
海外の方に向けて、当館が日本画専門の美術館であることを伝えるため、 「JAPANESE PAINTING」という英文を 配したバージョンも作成しました。 |
50周年のバリエーション |
シンボルマークの色について
東山魁夷 《年暮る》
1968(昭和43)年 山種美術館
色の選定(山種美術館にて)
東山魁夷が使用していた岩絵具(東山家)
シンボルマークには、日本の伝統色の一つであり、日本画と関係の深い色を使用いたしました。この度、選定した色は、近代・現代を代表する日本画家として活躍した東山魁夷が好んで使用していた群青の岩絵具をイメージしたものです。
静けさに満ちた京都町屋の情景を描いた《年暮る》などにも使われている美しい青色は「東山ブルー」とも称されています。東山家に現在も保管されている、魁夷が実際に制作に用いていた群青の天然岩絵具と色見本を合わせながら、マークの色を選びました。
山種美術館 館長 山崎妙子
東山 魁夷(ひがしやま かいい 1908-1999)
神奈川に生まれる。東京美術学校卒業。結城素明に師事。在学中に帝展に連続入選し、戦後は日展に出品。1969年、文化勲章を受章。国民的風景画家として広く人気を博し、数々の著作も残す。
「群青」とは?
日本画には、鉱石を砕いて作られる岩絵具が使用されています。藍銅鉱(アズライト)を原石とする群青は、その中でも産出量が少なく、高価であるため宝石のような絵具といわれます。