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奥村土牛《醍醐》ゆかりの桜を2021年11月15日に記念植樹(2021年11月09日)

山種美術館開館55周年を記念し、総本山醍醐寺様よりお墨付きをいただいた奥村土牛の代表作《醍醐》ゆかりの桜を住友林業株式会社様より寄贈いただき2021年11月15日に植樹します。

山種美術館では毎年春に、桜や花をテーマにした展覧会を開催しています。山種美術館前の通りは、秋には銀杏並木が見ごろでその景色を楽しむことができますが、春には咲く花は少なく、通りにある植栽からは春を感じることができません。当財団理事の遠山敦子先生が展覧会にご来館された際に、「山種美術館の玄関に桜を植えることができたら、より春を感じられますね」というお話をいただきました。桜があれば、ご来館者はもちろんのこと、地域の皆様や、車の車窓からも桜をご覧になることができます。コロナ禍により、賑わいが消えてしまった恵比寿の街に彩りを加えるために、そして美術館に活気を取り戻すべく、美術館の玄関前に美術館に縁のある桜の名木を植えられればと考えました。

今回、住友林業様のご厚意により、豊臣秀吉が1598年に「醍醐の花見」をしたことで知られる京都・総本山醍醐寺の「太閤しだれ桜」を組織培養 増殖した桜を寄贈いただくことになりました。その後、植樹するための調査をしましたところ、現状では桜の植樹ができないということがわかり、植樹が可能になるよう、私からも植栽基盤と壁面緑化パネルを寄贈させていただきました。今年は当館の開館55周年にあたり、記念事業が実現し、私も寄与できますことを大変嬉しく思っています。

原木の「太閤しだれ桜」は樹齢約170年といわれ、山種美術館と縁の深い日本画家・奥村土牛が代表作《醍醐》に描いたことから「土牛の桜」ともよばれています。土牛は当館と縁の深い画家であり、83歳の時に制作した《醍醐》は、当館のコレクションを象徴する名作のひとつです。11月13日から始まります「奥村土牛」展では、展示室で《醍醐》をご鑑賞いただきながら、植樹された桜がこの絵のように咲き誇る姿をご想像いただければ幸いです。

「土牛の桜」を受け継ぐ若木が、当館の新たなシンボルとして、末永くご来館される皆様に愛される桜に成長しますよう、これから大切に育み、守っていきたいと思います。皆様も将来を楽しみに、温かい目で見守っていただければありがたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。


山種美術館 館長 山崎妙子
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画像左:奥村土牛 《醍醐》 1972(昭和47)年 紙本・彩色 山種美術館
画像右:醍醐寺の境内にある「太閤千代しだれ」